後期高齢者は基本的に負担割合は1割
そして、現役世代は3割です
後期高齢者は年金生活で生活が大変って聞くけど、そうなのか?
健康保険制度の不思議
私は、病院で患者さんの入退院に関わる仕事をしています
入院の際に、患者さん自身の病気のことなどお聞きするのですが
それに加えて、経済面も確認しています
先日、お話をさせてもらったご家族さんに聞くと
患者さんの年金額は、月に20万円程度とのことでした
でも、健康保険証をみると、「区分Ⅰ」となっています
区分Ⅰとは、「世帯全員が住民税非課税で、年収約80万円以下」の方が該当します
外来の1ヶ月の上限は8,000円、入院の1ヶ月の上限額は15,000円になります
詳しくは、こちら→ 医療費の一部負担(自己負担)割合について
月に約20万であれば年収約240万円ですから、当てはまりませんよね
「あれ??なんでかな」って思ったら、遺族年金をたくさんもらっていると話してくれました
つまり、本人の年金は国民年金のみで、遺族年金が大きいってことです
会社員の妻で扶養されていた場合に、こういう現象が起こるんですよね
遺族年金は収入にならないんです(なんでなんでしょうね)
実は、こういうケースって、珍しくはなくて、ちょいちょい聞く話なんです
年金は合計するとそれなりに持っている、預貯金もたくさんある
だけど区分Ⅰとか区分Ⅱとかの保険証を持っている
医療保険は預貯金は反映されないので、国民年金のみ受給している方は、たくさん資産をもっていても医療費がすごく安いんです
ちなみに、介護保険は資産要件がありますよ
実態にそぐわない制度だなぁ・・・って思ってしまうわけなんです
だって、現役世代は月に20万もらっていなくても、医療費は3割ですしね
そして、受診にいく時間もないですし
人によっては、仕事を休んで親の受診に付き添うわけです
なんだかなぁ・・・と、ついつい思ってしまうんですよね
お金持ちほど制度を活用している
私の上司が、先日ふとこんなことを言っていたんです
お金持ちほど、制度に詳しくてね、使わなくてもいい(使わなくても生活に困らない)と思うけど使う(使っている)んだよね
反対に、制度を使えばいい人(生活に困窮している人)ほど使っていない
制度を知らないのか、理解出来ないのか
お金持ちはなるべくしてお金持ち
貧乏もなるべくしてなのか・・・
患者Tさんは70代後半、転院のための面談で、妻のMさん、娘さんとお話をしました
ふと、健康保険証をみると、後期高齢者の保険証の有効期限が1ヶ月だったんです
そして、区分は一般の課税世帯でした
普通は保険証の期限は1年のはずなので、おかしいなって思ってきいてみると
Tさんの年金は月5万円、妻のMさんは生活のために仕事を続けていました
生活がかなり困窮していて、健康保険料を毎月支払いにしているんだとか
Tさん夫婦はA市に住所があり、住民票ではA市で夫婦2人暮らしになっているのですが
実はMさんは仕事の関係でB市で1人暮らしをしています
Tさんは長く入院生活を送っており、A市に住所はありますが住んでいません
結局、医療費というのは世帯収入が関係するので、夫婦の収入から課税世帯となっているのです
私が提案したのは・・・
- Mさんの住所をB市に移すこと
- Tさんを独居として、年金収入のみとし医療費を区分Ⅰとする
そうすると、Tさんの入院費用は格段に少なくなります
医療費の上限が、一般は57,600円、区分Ⅰは15,000円です
それだけで、月に42,600円出費が少なくなります
今までずっと入院費の支払いに苦労してきたと言いますので
もっと早くそうしたらよかったのにって思ったのですが・・・
でも、結局、私の提案は受け入れられなかったようで、手続きをされませんでした
役場に電話して段取りしたり、娘さんにも何度か電話をしたんですけれど・・・
制度を説明しても、すぐに動かないのか、理解できないのか?
損したくない気持ちが強すぎて、余計に損している気がするんですよね
使える制度は使えばいいのになって思った出来事でした
制度は賢く使おう
高齢者と現役世代の世代間格差みたいなもの?闇?を感じるこの頃
高齢者も、恵まれた世代とはいうものの
やっぱり人によってかなり経済状態は違っていて
無年金で預貯金もない人、生活保護の人もそれなりに見てきました
やっぱり金融リテラシーの差なんでしょうか
健康保険制度など、世代間の理不尽さを感じることも多いですが
そんなことを言っていても仕方がないですし
ただ、現状の制度に疑問があれば自分なりに調べたり
自分が使える制度がないか、常にアンテナを張っておくことも大切だと思った出来事でした
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